田村を創る人たち♯5
2018.3.23
「震災があっても、町は動き続けている。
観光地を忘れられないように発信し続けていきたい」
田村市滝根町には、東日本大震災の大きな揺れにも耐えた観光スポット「あぶくま洞」がある。
そのあぶくま洞で働く、都路町出身の笑顔が素敵な青木菜々さん。
田村市滝根観光振興公社の職員としてあぶくま洞の観光業務に携わり、田村市の観光キャンペーンクルーとして、全国に田村市の観光をPRする活動をしています。
8000万年という歳月をかけて創られた大自然のパワーを感じるその場所で、青木さんはどんな想いで田村市の観光の魅力を紹介しているのか。
東日本大震災の影響を、観光地として直に感じるこの場所で、震災当時のお話、風評被害、そしてこれからの田村市の観光の夢を伺ってきました。
写真=NPO法人くらスタ 光本
聞き手=田村市復興応援隊 渡邉 白岩
文=田村市復興応援隊 渡邉
Contents
1.どんな仕事や活動をしていますか
2. あぶくま洞に入社したきっかけ
3.東日本大震災の影響はどうでしたか
4.あぶくま洞や田村市の観光の魅力は何処にあると思いますか
5. 観光の魅力を伝えるうえでの心構えやこれからの夢を教えて下さい
1.どんな仕事や活動をしていますか
あぶくま洞では、企画営業としてイベント立案やその実施、広報を担当しています。(取材当時)
イベントでは司会をしたり、テレビ局が来るとレポーターの方の案内役もします。
また、田村市観光キャンペーンクルーとして全国に田村市の観光をPRしています。
日本鍾乳洞サミットに出席して情報交換や交流をしたり、県内外のイベントでパンフレットや特産品の「あぶくまの天然水」を配ったりして、観光PRを行います。
2. あぶくま洞に入社したきっかけは何ですか
高校生の時に、地球温暖化のニュースが気になっていたんです。
父は農家、母はフラワーアレンジメント教室を開いていたので、もともと自然に関心があったのかもしれません。それで、いつか里山を守る仕事がしたい。と思うようになりました。
東京の短大で、環境保全・造園を専攻し、環境は管理する人がいないと廃れていく、人がいないと地域活性・生態系が廃れていくんだと感じました。
ちょうど就職先を探していたときに、県内最大級のラベンダー園があるあぶくま洞の職員募集を見て応募しました。
東京での生活よりも、故郷で自然を感じる生活をしたいと思ったんです。
3.東日本大震災の影響はどうでしたか
私自身は避難指示地域に自宅があったため、車で1時間ほどの郡山市の親戚宅を頼って家族で避難し、翌日にはそこからあぶくま洞に通いました。受入れてくれた親戚の方はどなたも明るく接してくれて、救われる想いがしました。
震災から半年ほどで都路町の自宅に帰ることができたのですが、畜産農家だった父は放射線量の影響なども考え、現在は違う職に就いています。
あぶくま洞はあの大地震でもどこも壊れることなく、見学されていたお客様もスタッフも全員無事でしたが、途中の道路に被害が出た影響で営業再開には震災から1か月半ほどかかりました。
営業再開までの間、洞内の様子や設備、放射線量の心配をされる方も多く、問合せの電話を数多くいただきましたが、その都度放射線量は低く、来洞されるのに心配はありませんとお答えさせていただきました。
それでも震災前は年間約30万人だった来洞客は約5万人にまで落ち込みました。
このままではいけないと、あぶくま洞の安全について県外に発信・PRする活動を続けましたが、なかなか当初の反応は厳しかったですね。
震災から7年が経った現在では、やっと年間約20万人のお客様に来ていただけるようになりました。
お客様が再びあぶくま洞に目を向けていただけるようにと、営業や運営に携わったスタッフの頑張りが報われたと感じて嬉しかったです。
最近では、冬に洞内イルミネーションを開催したり、県内唯一の「恋人の聖地」として選定されるなど、お客様が楽しんで頂けるコンテンツも増えています。
【冬の名物イルミネーション】
4.あぶくま洞や田村市の観光の魅力は何処にあると思いますか
あぶくま洞は、入口から出口まで約600メートルあるのですが、鍾乳石の形・色・全てが違う唯一無二の世界です。
私自身、何度もあぶくま洞に入るのですが「こんなところにこんな石があったかしら?」と思うくらい毎日新しい発見があって飽きないんです。
特にお気に入りのスポットは「せせらぎの間」で、ザ・鍾乳洞!って感じがします。
「妖怪の塔」は、巨神兵に見えるんです(*^▽^*)
田村市は、各町に見どころが点在していて、文化やお祭りや史跡など、四季折々に楽しめる地域だと思います。
最近では、各行政区ごとに新たな取組みが増えていて、どんどん面白い地域になっていると感じます。
これからの、田村市が楽しみですね。
5. 観光の魅力を伝えるうえでの心構えやこれからの夢を教えて下さい
震災直後は、自分のことを福島県出身ですと口にする自信がありませんでした。
県外で「どこから来たの?」と聞かれて、出身地を答えると相手の顔が曇るのではないか、気を遣わせるのではないかと気にしていました。
でも今は、時間が経過して故郷に戻ってきている人たちもいるし、あぶくま洞にいらっしゃる方の数も増え続けています。
少しずつではありますが、風評被害が減少していると感じています。
震災の話を聞かれたときは、皆さんに福島に来てほしいという想いをこめて「そんなこともありましたが、福島県・田村市は元気です。」と笑顔で現状を紹介しています。
お客様の中には「子供の頃に来ました」というリピーターさん達も増えています。
みなさんをガッカリさせないように、案内や景観をより良いものにして、田村市の観光を復興から発展へ繋げていきたいです。
~あぶくま洞情報~
【住所】 福島県田村市滝根町菅谷字東釜山1 番地
【問い合わせ】 あぶくま洞管理事務所 Tel: 0247-78-2125 Fax: 0247-78-2127
【休日】 年中無休
【営業時間】
8:30~17:00 (冬季は16:30まで)
~編集後記~
【白岩】今まで、何度もあぶくま洞に入った事ありますが、青木さんの話を聞いて色々な発見がありました。妖怪の塔は、巨神兵にもダースベイダーにも見えますね\(◎o◎)/!
【渡邉】ほんとだねー。同じものが一つもない「唯一無二の世界」って聞いて納得しちゃった♪
【白岩】まだまだ未発見の所があるなんて、ロマンを感じますね。
【渡邉】8000万年のロマン°˖✧◝(⁰▿⁰)◜✧˖°地震がきてもビクともしなかったパワー!!凄いね!!
8000万年の神秘に浸りながら、恋人の鐘を鳴らすっていうのもステキ!!永遠に愛が続きそうだね。頑張る!!
【白岩】・・・・・・・・・・。(頑張ってください(;’∀’))