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田村を創る人たち#8

2019.1.16

「放射線を気にせず子どもと羊が安心して遊べる牧場を作る!」

 

東日本大震災を機に、川内村から田村市船引町移地区に夫婦で移住した吉田睦美さん。県内ではここでしか見られない羊を飼育していたり、あまり見たことのないカラフルな卵を販売していたりと、一風変わった牧場「アニマルフォレスト移の森」を運営しています。牧場と地域への熱い思いを、吉田さんに伺いました。

 

 

写真=田村市復興応援隊 渡邉

聞き手=田村市復興応援隊 渡邉、山代

文=田村市復興応援隊 山代

 

 

ーどんな仕事をしているのですか?

牧場を経営しています。カラフルな4種類の鶏の卵「にじたま」を販売、今年からは実験的に羊の肉の販売も始めました。体験ができるふれあい牧場もやっています。

 

 

ーなぜカラフルな卵の販売を始めたのですか?

1つは日本全国に販売するためには、個性がないといけないと思ったから。もう一つは鶏の限界に挑戦しようと思い、鶏の卵の全ての色をそろえました。特に赤い卵は福島県が誇る会津地鶏なので、福島県のお土産としても使われるといいなと思っています。

カラフルな卵

 

ー他にどんな活動をしているのですか?

移地区で町おこしを手掛ける団体「Uniy」の一員としても活動しています。そこではBMX(自転車の一種)を通した町づくりや、地域の女性向けワークショップの企画等を行っています。

【Uniyの活動】

【イベントの様子】

他にも牧場活用のため、昨年は「BEM」という音楽フェスに牧場の一部を提供しました。今年は6月に行われるアースデイ福島をアニマルフォレストで行いたいと思っています。

 

【BEMのメンバーの皆さん】

【BEMのメンバーの皆さん】

昨年の音楽フェスの様子はこちら→BEM

 

ー牧場を始めたきっかけはなんですか?

きっかけは結婚です。主人の実家が元々川内村で畜産をやっていたので、結婚するときに「私もできるんじゃないかな」と思い始めました。その直後、東日本大震災と東京電力第一原子力発電所の事故が起きたんです。牧場は「これから色々盛り上げよう!」という時でしたが、もちろん川内村での牧場経営は断念しなければならず、その後5年間は主人の会社の手伝いと、放射線の影響で売れなくなった羊の世話をしていました。

 

その間に、主人の実家を含め、多くの牧場が経営を辞めてしまいました。特に羊は、震災前でも県内で唯一開かれていた本宮市でのやぎと羊の競りが復活しておらず、再開しようにも環境が全然整っていませんでした。

 

「やっぱりもう牧場はあきらめた方がいいのかな。」そうも思いました。でも今ここで羊の飼育を諦めてしまったら、それは復興をあきらめたということになってしまう。それにこれまでいろんな人が蓄積してきた羊飼育の貴重な知識や経験、文化を途絶えさせてはいけない、そう思って、田村市の移地区で再開することにしたんです。

震災後の苦労や葛藤を話してくれる睦美さん

 

ー他にはどのような震災の影響がありましたか?

移でどんな牧場を作ろうかと考えた時に、まず出てきたのが「人道的な牧場を作りたい」ということでした。それは原発事故で悲惨な運命を辿った動物を目の当たりにしてきたからこそ、出てきた考えでした。あのようなことを繰り返したくない。だから私は、鶏の餌一つとっても、この鶏が自然界で生きていたら、何を食べるだろうかということを考え、少しでも自然に近い環境を作っています。「にじたま」を売るということは、「卵と一緒に鶏の生活をお客様に届ける」ことだと思っています。

 

他にも、今でも震災の影響は色々あります。放射線を含んでいるということで牧草地で羊を放牧することはできないし、仮にしてしまったらもうその羊を出荷することはできません。今はまだ色んな制約があり、いつになったら自由に放牧できる日が来るのかもわかりません。

 

でも、このままでいいはずはない。一つずつ条件をクリアしていって、堂々と羊を放牧できるようになったとき、ようやく「復興」っていう言葉に近づけるんだと思います。「福島の物は(検査しているため)より安全だから安心」といって応援してくれる人たちのためにも、正面突破して、いつか堂々と羊を放牧、出荷したいと思います。

 

10年後には、一番放射線の影響を受けやすいと言われている子どもと羊が、安心して牧草地を自由に走り回れる、そんな牧場を作りたいんです。

 

ーこれからやりたいことは?

少し前に訪れた海外の牧場、震災、そして移住者としての自分達。これらの経験を通して思ったことは、私たち夫婦が作りたいのは、「多様性をもった牧場」だということでした。カラフルな卵もそうですし、県内ではここにしかいない羊を飼っている他、アニマルフォレストにはやウサギ、ポニーややぎ等、色んな動物がいます。色んな生き物が共存している牧場、それがアニマルフォレスト移の森です。

ポニー

やぎ

 

今、牧場の一角に多目的野外施設(交流スペース)を有志の会員と一緒に作っています。ゲルやツリーハウス、自給キャンプスペースなども作ろうと思っていますが、そこでは人と人、人と動物、人と自然等、多様な生き物が触れ合える場所にしたいと思っています。

 

ー移住者として、地域に思うことはありますか?

ここ田村市の移地区に来て3年が経ちます。移に来たのには実は理由があるんです。というのも、やっぱり縁もゆかりもない地域に住むというのは、移住者としては入りにくいんです。でも移は違いました。移は移住者を最初から受け入れてくれました。移住者が来たというと、みんな興味津々で話しかけてくれるんです。だから、移にはとても感謝しています。

 

移の人口はどんどん減っているので、これから交流人口を増やして、移をもっと活気のある町にしたいです。そのきっかけに、アニマルフォレスト移の森がなれたらいいなと思っています。町の人と一緒になって、アニマルフォレスト移の森や移に人を呼びたいです。今作っている多目的野外施設もその一助になればと思っています。それが、私たちの移への恩返しです。

沢山の「夢」を話してくれる吉田ご夫妻

イベント会場を制作中

 

~編集後記~

【渡邉】夫婦のそれぞれの夢を、一つの形にするって素敵だね!

【山代】旦那さんと奥さんのバランスが絶妙ですよね。

【渡邉】地域の人たちと協力して作り上げる牧場、楽しみだね♪

【山代】定期的に遊びにいかなくちゃですね。

 


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