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田村を創る人たち #1 

2016.08.03

「便利さが優先してしまうこの時代に、絵本や本を通して学びを深めてほしい」

田村市常葉町 書店・薬店・化粧品店「石川屋」店長 石井修一さん

国道288号に面した田村市常葉町の古い建物が並んだ商店街に、一軒だけ外壁が真っ白で真新しい建物があります。手前にはウッドデッキ・白いパラソル・ピンクや黄色、赤と彩られた花が配置されるこのモダンな雰囲気を醸し出すお店は、今年1月にリニューアルオープンした江戸時代末期から続く「石川屋」です。この地で生まれ育ち、8代目となる石井修一さんが店長を務め、仙台で出会った奥様恵子さんとお店を切り盛りしています。店に入るとまず目に留まるのは、入って左側の壁に天井高くまで並ぶ絵本たち。中央には薬店スペース、右側には化粧品が陳列され、右端にある階段を登った先にある中二階にはエステコーナーもあります。歴史のあるお店を継ぎながら、今年1月に内装を一新してリニューアルオープンし、時代の流れに沿った工夫をしていく。そんな石川屋店長の想いを伺いました。

写真=田村市復興応援隊 渡邉

聞き手=田村市復興応援隊 渡邉 中岡

文・編集=田村市復興応援隊 中岡

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(石川屋の外観)

Contents

・始まりは江戸末期

・絵本へのこだわり 

・石川屋店長おすすめの絵本ベスト3

・絵本を通して子どもたちに伝えたいこと

・活動への想い

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―絵本がたくさん!店内のレイアウトが本当に素敵ですね!(応援隊 中岡・渡邉)

絵本は表紙が「顔」じゃないですか。その「顔」をよく見えるように配置しているんです。(石川屋店長 石井さん)

・はじまりは江戸末期 

―この石川屋は創業何年になるのですか?

良く聞かれるのですが、具体的に創業何年かはわからなくて、江戸末期としか答えられないんです。昭和31年に起きた常葉町の大火事ですべてなくなってしまいましたしね。創業当初は金物屋でした。お風呂の桶も売っていたという話も聞いています。私はおそらく8代目で、本屋としては3代目になります。

―石井さんご自身はお店を継ぐ他に、何かやりたいと思ったことはあるのですか?

私らの時代は、生まれたその日から跡継ぎだと洗脳されてきたようなものなんです。自分で何かやりたいことを持ったとしても、選べない時代だったんですね。とにかく学生が終わったら修業に行って、どんな形でもいずれ帰ってくる。だから振り返ってみても、他に何かやりたいと思ったことはないような気がしますね。

高校は普通高校の日大東北に、その後いわき短期大学で経済学を学び、卒業後に仙台で医薬品登録販売の資格を取るため、薬の営業をしながら勉強していました。仙台出身の妻とはそのとき出会い、結婚しました。仙台には10年ほどいるつもりだったのですが、父の体の具合が悪くなってしまって急遽常葉に帰ることになり、この店を継ぎました。

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―リニューアルオープンしたのは今年ですよね。

今年の1月です。もともと店はもっと大きかったんです。今は国道288号線から少し奥まった位置にありますが、昔は国道沿いぎりぎりまで建物があり、裏は今の常葉町行政局の入口近くまでありました。

―どうしてお店をリニューアルすることになったのですか?

単純に、建物がかなり古くなってしまったからですね。常葉の大火事のすぐ後に建てたものだったので、あちこち朽ち果ててきていていたんですよ。目の前に見える石垣は、前の建物の名残ですね。撤去するのが大変だったので、石垣を残して、上にウッドデッキを作ったんです。

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(店内のガラス窓から見える石垣とウッドデッキ)

今までの店を知っていた人は、急に変わったものだから「石川屋なくなった!」と思ったみたいね。(恵子さん)

リニューアルを記念してお店の前でトークショーもやりました。高島大さんという作家の方に来ていただき、講演していただいたのですが、120人ものお客さんが来てくれました。高島さんの本も約120冊売れました。普通、東京で有名な方が来ても20冊も売れないらしいので、ご本人がとても驚いていました(笑)地方の小さい町だからこそかもしれないですね。

・絵本へのこだわり

―絵本は何冊くらい置いているのですか?

600~700冊くらいですね。うちは、ベストセラーものは少なくて、大きな書店では買えないようなものを置いています。専門誌の総評を読んだり、本の表紙を見て選んだりしています。

―店内には雑誌や小説も置いてあるようですが、絵本が多いですよね。絵本にこだわる理由はあるのですか?

自分は小説よりも絵本の方が好きなんです。活字を多く読むよりも、ビジュアルと誰でもわかる短い言葉で成り立っている絵本の方が自分には合ってる。そして今の時代、本があまり売れないですよね。何かこれといった特徴を出したかったんです。絵本だけを置いている本屋って意外と少ないんですよね。絵本の表紙を綺麗に見せることで、インパクトも出したかった。

そして、今本屋だけではやっていけなくなってきているんです。世の中では本屋をリノベーションする流れがあって、本屋とカフェが一緒になったブックカフェや、家具屋や雑貨屋の中にお店のテーマに沿った本を置くなど、色々な工夫がされている。うちはもともと本だけでなく薬・化粧品も売っていたので、リノベーションを意識していたわけではないですが。でも実際、エステに来たお客さんがついでにお孫さんへ絵本を買っていってくれる、という相乗効果もあるんです。

―絵本を手に取るのは、やはり時間に余裕のある人なのでしょうか。

いえ、そんなことないです。むしろ、時間に余裕がない人にこそ読んでほしいです。短いページに物語と心にぐっとくるメッセージが凝縮されているんです。

―なるほど・・・!絵本が読みたくなってきました。石川屋店長おすすめの絵本ベスト3を教えてください!

・石川屋店長おすすめの絵本ベスト3

ベスト3

「おとうさんのちず」

作・絵:ユリ・シュルヴィッツ、訳:さくまゆみこ

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ポーランド、ワルシャワを舞台にした、内戦中の貧しい家族のお話。お父さんはパンを買うと出かけていき、持ち帰ってきたのは1枚の地図。家族は怒りますが、持ち帰ったその世界地図は少年にパン以上のものを与えてくれました。

★店長のおすすめポイント★ 深いメッセージ性のあるお話です。この本は、主人公の少年が大人になって書いた実話なのです。

ベスト2

「新幹線のたび~はやぶさ・のぞみ・さくらで日本縦断~」

作・絵:コマヤスカン

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主人公の少女とお父さんが、新青森駅から3つの新幹線を乗り継いで鹿児島のおじいちゃんの家に行くというお話。

★店長のおすすめポイント★日本の美しい景色が細かく描かれています。実は、郡山市のビル・ビッグアイや田村市の大滝根山も載っているんですよ!大人も楽しむことができます。

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ベスト1

「うきわねこ」

文:蜂飼耳 絵:牧野千穂

うきわねこ

こねこのえびおが誕生日にもらったのは、空飛ぶうきわでした。満月の夜におこる不思議な、忘れられない出来事のお話。

★店長のおすすめポイント★ 夢があって女の子も男の子も楽しめる本です。幻想的で楽しいお話ですが、少し切ない部分もあるかも?!

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・子どもたちに絵本を通して伝えたいこと

今、活字離れが進んでいますよね。どんなに量が少なくても、絵本を通して活字に触れてもらい、本を好きになってほしいなと思っています。本って、わからない言葉や読めない漢字があれば調べますよね。調べると意味がわかり、使いたくなる。言葉を自分のものにして人と話すことで、コミュニケーション能力も上がってくる。お互いの理解が深まれば、大きい話ですが争いごとも起こりにくくなりますよね。便利さが優先してしまうこの時代ですが、絵本や本を通して学びを深めていってほしいですね。

―エステコーナーも拝見してよろしいですか?

(店長石井さんの奥様恵子さん)もちろんです。エステコーナーは、入って右端にある階段を登った先の中2階にあります。うちはお顔のエステを行っています。お客さんは、常葉町からはもちろん、田村市内の他の町や市外からのお客さんも多いんです。皆さんとの交流を楽しみながら、さらに綺麗になっていただくよう励んでいます。

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・活動への想い 

―音楽活動などもされているそうですが、どんな想いで活動されているのですか?

音楽活動は仲間と気楽に集まってライブをやったりCDを出したりしています。形にして人前で発表する、というのはこういう小さい地域だからこそできるのかもしれませんね。店の後を継ぐことはわかっていたし、無意識のうちに「自分たちが楽しむためにはどうしたらいいか」と常に考えています。自分たちの気持ちをいかに豊かにできるか、これからも無理のない範囲でやっていきたいと思います。

生まれ育った地を出て進学して、就職して、一生を終えるという人はいるし、もちろんそれもひとつの選択だと思います。でも、自分の生まれ育ったところでも力を発揮できると思うんです。だからそういう人がもっと増えてほしいと思っています。

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【石川屋 店舗情報】

住所: 〒963-4602 福島県田村市常葉町常葉字中町36

電話番号:0247-77-2001

営業時間:8:00~19:30

定休日:毎週日曜日

アクセス方法:JR磐越東線船引駅よりバスで常葉方面中町下車

スタッフ後日談

【渡邉】店内のレイアウトが外国の本屋さんみたいで素敵だったね!

【中岡】うんうん、ずらーっと並んでいて入った瞬間、興奮しちゃいました!

【渡邉】「絵本は時間のない人にぜひ読んでほしい」という店長の一言が印象的だったな~

【中岡】私たちもたくさん通ってお気に入りの一冊を見つけたいですね!


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