大人の工場見学第2弾!!~ふくしま中央森林組合~
田村の人の魅力を紹介する「大人の工場見学」第2弾!!
この企画は、田村市内に存在する様々な企業を取り上げ、いったいどんな仕事をしているのか、どんな分野で活躍しているのか、その企業の凄さを皆さんに知っていただこうというコーナーです♪
第2回目の紹介は、フォレストワーカー「ふくしま中央森林組合」さんです。
皆さんは、どうして山を丸坊主にしちゃうの?木を伐採するところ見てみたい!山から運ばれた木はどうなっちゃうの?都路の山ってどうなってるの?震災の影響は?と思ったことはありませんか?
そんな疑問を持っている渡邉と、林業映画「WOOD JOB!(ウッジョブ!)」に憧れている佐藤と山登りが好きな光本で、取材してまいりました。
その前に、森林組合とはどんな組織なのでしょうか?
日本の国土は約7割が森林で、その約7割が個人所有する私有林です。森林組合は、森林組合法によって設立され、森林所有者が組合員となって組織されている協同組合です。
森林組合には、高い林業技術を持ったスタッフが充実しており、組合員や地域の森林づくりや森林経営の要望に応えています。
また、森林の巡視や調査、行政の支援制度に関する情報提供なども行っています。(JForest 全国森林組合連合会HPより引用)
つまり、森林を管理する「プロフェッショナル集団」ということですね!
以上のことを踏まえて、【工場見学】スタートです(`・ω・´)ゞ
まずは、8ヘクタールの伐採現場へ。
こちらでは、赤松・杉を1月から3月にかけて伐採します。
斜面を登ると、緑の機械がとても器用に動いてます\(◎o◎)/!
名前は「フェラーバンチャザウルス」名前も素敵!!
掴んで、カットして、運んで、生きているかのように動いてます!!
「かっこいぃぃぃぃぃ!!」と取材班一同、感動です。
作業員の方が、ちょうど伐採してました。
すごい音と、飛び散るオガクズ。なかなか、見れないシーンです。
緊張の時間(;’∀’)
それを、フェラーバンチャザウルスが掴みます。
倒します。枝をカットします。
取材班の歓声があがりました。
大きな木が倒れていく様は、迫力がありますね。
さてさて、ここで、伐採する時の注意点を説明します。
作業員さんが、この仕事をしていて一番緊張するのが、木が倒れる時。
なぜなら、ケガも多いのがこの作業だからです。
カットする時は、風・木の角度・枝の数・障害物・重機や家の位置を計算しています。
長年の経験や、周りの観察も非常に大切なんですね。
掴む・掬う・回す・切る。優秀なフェラーバンチャザウルスの刃を見せてもらいました。
ひゃー、すっぱり切れそうですね(;^_^A
それでは、迫力あるシーンをご覧ください♪
乗り物好きな佐藤も、ちょっとだけ触らせてもらいました。
見よ!!この満面の笑みを!!
1日の伐採量はだいたい20から30本。伐採しながら、重機が通る道も作りつつ、山を整備していくのです。
常に危険と隣り合わせで仕事をしている方々と記念撮影。
皆さんとてもかっこよかったです。
ということで、取材班は下山。
途中、奇妙な守り神があったので、撮影してみました。
作業員の方も「あれは拝んでった方がいいよ~」と笑っていたので。(∀`*ゞ)エヘヘ
さて、伐採された木は何処へ向かったかというと「製材所」へ運ばれます。
第一加工で、木の太さで選別されて、10cm以下のものが、さらに二次加工されます。
皮を剥かれて、お菓子のトッポのように出てくる様子をご覧ください。
用途に合わせて加工されます。
こちらは、四角にカットされて、ボンドを塗り、圧力をかけて、綺麗な板状にします。
家の床等に使われるそうです。本当にまっすぐな綺麗な板になってます。横から見える木目も美しいです。
こちらは、丸くカットされた丸太が、腐らないように防腐剤を注入加工して、圧力をかけてます。
杭などにも使われてます。
木の香りと木目がいいですねー。
作業で出たオガクズは、集塵機で集められ、業者が引き取りにきます。
山の管理というのは、①森林整備の保育➁生育した木の伐採③植林というのを20年サイクルで行っています。
山を丁寧に育てる事によって、私たちの生活環境が保たれているんだということを知りました。
作業員の方にも、山にも感謝ですね。以上、渡邉が現場からお伝えしましたm(__)m
続きまして、ふくしま中央森林組合組合長へのインタビューパートをお送りします!
快く取材に応じて下さいましたのは、永沼幸人組合長です。
「前例のない災害には、前例のない対策が必要です。」
ふくしま中央森林組合 組合長 永沼幸人
Q.ふくしま中央森林組合が設立されたのはいつですか?
A.今から10年前、平成18年に石川、岩瀬、田村東部、都路の森林組合が合併してできた組合です。組合員の数は全体で約8,500名、森林面積は85,265ha(琵琶湖がすっぽりと収まってしまう面積)に上り、その広大な面積を私たち森林組合が管理しています。
Q.旧4組合の中で、事業規模が最も大きいのはどの事業所なのでしょうか?
A.東日本大震災の発災前までは、都路事業所でした。森林組合全体の事業総収益の約半分(平成20年度48.9%)を占めており、ふくしま中央森林組合の屋台骨でありました。収益の大部分がシイタケ原木の生産であり、原子力災害により大打撃を受けました。
Q.都路事業所の特徴は何ですか?
A.やはりシイタケ原木の生産です。震災前までは日本一と言っても過言ではないシイタケ原木の産地でした。その歴史は約40年前に始まりました。かつて燃料として利用するための炭焼きが盛んな地域でしたが、石油などの化石燃料が主流となったことで木炭需要が減り、シイタケ原木の生産に切り替えていきました。
Q.シイタケ原木に使われる木はどのようなものなのでしょうか?
A.主に「ナラ」「クヌギ」といった広葉樹です。戦後、全国で針葉樹(杉)の人工林を拡大させていく中で、都路はシイタケ原木利用のための広葉樹林の整備をしてきました。栃木県や、会津地方でもシイタケ原木の生産は行われていましたが、木肌や育ち具合の良さから、都路の原木の質は日本一ともいわれていました。
Q.組合長自身が森林組合に関わるようになったきっかけは何ですか?
A.きっかけは、六年前に原発事故が起き、山林賠償に関する問題で組合長を引き受けてくれないかとの声がかかったことでした。東京電力との賠償に関する交渉に代表の一員として参加し、解決を図っています。
Q.改めて、組合長自身の経歴を教えてください。
A.出身は石川町で、石川町の町議会議員、県議会議員、農業協同組合組合長、JA福島五連副会長を務め、現在に至ります。
Q.都路に限らず、森林組合としてどのような活動を行っていきたいですか?
A.森林組合として大事なのは、戦後から育てた森林資源をどのように整備、維持管理し、活用していくかということだと思います。現在、ふくしま中央森林組合がまたがる10市町村に対して、「航空レーザー計測による森林システム情報整備について」という提案をしています。これは、航空機に取り付けたレーザー装置により、山林の地形や木の種類、本数まで明らかにできます。森林の所有者自身が、自分の山のことを把握できるようにすることで、近年ないがしろにされてきている山への意識も変わってくるのではないかと考えています。これらで収集したデータをもとに、森林の整備を進めていくことが、これからの森林組合の仕事だと思っています。
Q.震災からの森林再生について、組合長としてどのように考えていますか?
A.都路は、山の中に民家が点在している山村です。こういった山村の復興をどのようにして行くかが課題です。原発事故により、主要産物であった「シイタケ原木」や「おが粉(菌床シイタケ用)」が出荷できなくなってしまいました。それらを再生するために、全国の大学の教授や研究者に調査・研究をしてもらっています。20年後、100年後、200年後になるのかはわかりませんが、今できることを進めています。
原発災害は世界でも類を見ない、前例のない災害であり、前例のない災害には前例のない対策が必要です。その中でも重要なのは、避難により崩壊してしまった「コミュニティ」の復活です。簡単なことではありませんが、森林組合としても再生に取り組んで行きます。
普段何気なく見ている森林も、いつも誰かの手によって整備されており、それが土砂災害などの被害を防ぎ、私たちの生活を守ってくれています。
佐藤の実家でも山を所有していますが、私自身どこにあるのか把握していません…
今度実家に帰った際には、親としっかりと話しておこうと思います。
協力して頂きました、ふくしま中央森林組合の皆さま、ありがとうございました!
【取材班】光本・渡邉・佐藤